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一部誤り

「低気圧で体調が悪くなるのは血管が膨張して神経を圧迫するから」は本当か?

科学・医学科学・医学健康生活

よくある説(俗説)

気圧が低いと体調が悪くなるのは、血管が膨張して神経を圧迫するから

雨や台風など低気圧が近づくと頭痛・だるさ・めまいなど体調が悪くなる人がいる。その理由として「外からの圧力が下がると血管が広がり、神経を圧迫して痛みや不調が起きる」という説明がよく語られる。

検証

低気圧時に血管が拡張しやすくなることは事実であり、特に片頭痛では脳血管の拡張が三叉神経を刺激して痛みを起こすという経路が一定の根拠を持つ。この意味では「血管が関わる」という点は完全な誤りではない。しかし血管拡張による神経圧迫だけでは、頭痛以外の症状(だるさ・吐き気・めまい・気分の落ち込み・関節痛など)をうまく説明できない。現在の研究では、気圧変化を最初に感知する器官として内耳(特に球形嚢=耳石系の一部)が注目されている。愛知医科大学の佐藤純教授らの研究で、低気圧時に内耳の球形嚢が気圧変化を感知し、その信号が脳幹を経由して自律神経を乱すことが確認されている。自律神経の乱れが交感神経・副交感神経のバランスを崩し、頭痛・倦怠感・吐き気・うつ傾向など多様な症状を引き起こすという経路が、気象病・天気痛の主要メカニズムとして提唱されている。

実際の有力説

「低気圧で体調が悪くなる」こと自体は医学的に認められた現象(気象病・天気痛)で、実在する。原因として血管拡張が頭痛に寄与することは一定の根拠があるが、「血管が神経を圧迫する」という説明は主に片頭痛に絞った簡略化であり、全体の体調不良を説明するには不十分だ。現在より有力なのは、内耳の気圧センサーと自律神経系を介した複合的なメカニズムだ。

なぜ広まったか

「圧力が下がる→血管が膨らむ→押されて痛い」という因果関係は直感的にわかりやすく、物理的なイメージと合致する。片頭痛と血管拡張の関係が医療情報として広まるなかで、それが「低気圧の体調不良全般の原因」として単純化・拡大解釈されたと考えられる。

見分け方

体の不調の「原因」として語られる生理学的な説明は、特定の症状(頭痛)への説明が全症状の説明に拡大されていることがある。「どの症状に対してその機序が確認されているか」を絞り込むと、単純化の程度が見えやすい。

出典

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