一部誤り
「恋愛は免疫力を上げる」は本当か?
よくある説(俗説)
恋愛は免疫力を上げる
好きな人がいると元気になる、恋をすると風邪をひきにくくなる、幸せな恋愛は免疫力を上げる、といった説明は健康雑学や恋愛記事でよく語られる。
検証
恋愛や親密な人間関係が身体の免疫関連プロセスと関係することは研究されている。たとえば、新しい恋愛関係にある若い女性を追跡した研究では、恋に落ちた時期に一部の自然免疫・抗ウイルス応答に関わる遺伝子発現の変化が見られた。ただし、これは『免疫力が全体的に上がる』という単純な話ではない。免疫系には炎症、抗ウイルス応答、抗体反応など複数の側面があり、ある反応が高まることが常に健康に良いとは限らない。
実際の有力説
より正確には、恋愛を含む良好な社会的つながりは、ストレスや孤独感を減らし、炎症や抗ウイルス応答などの免疫関連指標に影響しうる。ただし効果は関係の質、ストレス、睡眠、生活習慣、感染曝露などに左右される。恋愛そのものを万能の免疫増強法のように扱うのは誇張で、安心できる親密な関係が健康に関わる可能性がある、と見るのが妥当である。
なぜ広まったか
『恋をすると元気になる』という体験談は共感されやすく、免疫力という言葉も健康効果を一言で説明しやすい。心理状態と身体の関係を示す研究が、メディアでは『恋愛で免疫アップ』という短い表現に圧縮されやすい。
見分け方
健康情報で『免疫力が上がる』と書かれていたら、何の指標を測ったのかを確認する。抗体価、炎症マーカー、遺伝子発現、感染率は別物。さらに、恋愛の有無だけでなく、関係の質やストレスの変化を分けて見ると誇張を見抜きやすい。
出典
- Falling in love is associated with immune system gene regulation— Damian R. Murray et al.
- Two Distinct Immune Pathways Linking Social Relationships With Health: Inflammatory and Antiviral Processes— Carrianne J. Leschak, Naomi I. Eisenberger
- Close Relationships, Inflammation, and Health— Janice K. Kiecolt-Glaser et al.
- Loneliness promotes inflammation during acute stress— Lisa M. Jaremka et al.