誤り
「『松島や ああ松島や 松島や』は芭蕉の句」は本当か?
よくある説(俗説)
『松島や ああ松島や 松島や』は松尾芭蕉が詠んだ俳句である
日本三景の松島を前にして、俳聖・松尾芭蕉があまりの絶景に『松島や ああ松島や 松島や』と詠んだ、という話は非常に有名で、教養雑学としても広く流布している。
検証
この句は芭蕉の作品として広く知られているが、芭蕉の句集や研究書には確認できず、芭蕉作ではないとされる。レファレンス協同データベースでは、江戸後期の『松嶋図誌』に相模の田原坊の吟として『松島や さて松島や 松島や』が載っており、そこに芭蕉が松島の美しさに句を詠めなかったという話が併記されたことで、両者が混同された可能性が高いとしている。
実際の有力説
現在有力なのは、『松島や ああ松島や 松島や』は芭蕉の句ではなく、田原坊の句が変化し、そこに芭蕉の逸話が重なって広まったという見方である。芭蕉自身は松島に関して別の句を残しており、『島々や 千々にくだきて 夏の海』がその一つとして知られている。
なぜ広まったか
『絶景に言葉を失った俳聖』という物語はとても印象が強く、松島の名所イメージとも相性が良い。また、『松島や…』は短く覚えやすいため、観光案内や雑学本、学校教育の周辺知識として広がりやすかった。
見分け方
有名人の名言や名句は、作品そのものと逸話が混ざって広まりやすい。作者を確認したいときは、句集・全集・専門研究・図書館レファレンスなど、出典をたどれる資料で確かめると見分けやすい。
出典
- 「松島や ああ松島や 松島や」は松尾芭蕉の俳句か— レファレンス協同データベース
- 松嶋圖誌— 国立国会図書館サーチ