「エアコンはつけっぱなしの方が電気代が節約になる」は本当か?
よくある説(俗説)
エアコンはこまめに消すよりつけっぱなしにした方が電気代の節約になる
エアコンを起動するときに大きな電力を消費するため、こまめにオンオフするより、一定の温度でつけっぱなしにしておいた方が結果的に電気代が安くなる。特に夏は外出時も消さない方がよいという話が広まっている。
検証
「つけっぱなしの方が節電」という主張には条件つきで成立する部分があるが、多くの場面では当てはまらない。インバーター式エアコン(現在の主流)は室温が設定温度に達した後は圧縮機の出力を落として少ない電力で維持する仕組みだ。一方で、室温が大きく乱れると設定温度まで戻すために消費電力が増える。ダイキンが行った実測実験によると、真夏の日中(外気温35℃以上)の条件では、30分程度の短い外出ならつけっぱなしの方が電力消費が少ない場合がある。しかしその同じ実験で、30分を超える外出では消した方がトータルの消費電力が少なくなるという結果も示されている。パナソニックも、猛暑日(外気温35℃以上)以外の通常条件ではこまめに消す方が節電になると説明している。実測値として、夏の1日あたりの消費電力がつけっぱなしで約5.7kWh・こまめに消した場合で約4.4kWhという差が報告されており、つけっぱなしの方が電気代が高くなる。春・秋・夜間など外気温が低い時期は、室温が設定温度に戻るコストが小さいためこまめに消すのが明らかに有利だ。また建物の断熱性能・日当たり・エアコンの機種によっても大きく変わる。資源エネルギー庁は「頻繁なオンオフは避けるべき」としているが、「つけっぱなし推奨」とは言っておらず、無人の部屋で長時間稼働させることは節電にはならない。
実際の有力説
「つけっぱなしが得」が成立するのは、主に外気温が非常に高い猛暑日の昼間に30分未満の短い外出をする場合に限られる。大半の条件・季節・外出時間では、こまめに消した方が電気代は安くなる。「エアコンはつけっぱなし=節電」という一般論は誤りで、条件次第という答えが正確だ。
なぜ広まったか
インバーター式エアコンが省エネになった1990年代以降、「起動時に電力を食う」という事実が一人歩きして、「だから消さない方が得」という結論が広まった。特定条件での実験結果がメディアで取り上げられる際に「猛暑日の短時間外出」という条件が落ちて一般化されたことも一因だ。
見分け方
「○○はXするより△△する方がコストが低い」という比較の主張は、どの条件・状況での比較なのかを確認するのが重要だ。エネルギー消費のような話は季節・時間帯・機器の種類・建物の断熱性によって大きく変わる。特定条件で正しいことが一般化されていないかを意識するとよい。
出典
- エアコンはつけっぱなしとこまめに消す、どっちが節電?(夏編)— ダイキン工業株式会社
- 夏のエアコン節電のポイント— パナソニック株式会社
- エアコンの上手な使い方— 資源エネルギー庁